北村西望作 彫刻達磨大師

北村西望 彫刻達磨大師

【長崎県佐世保市買取】

長崎の空は、いつも少し不思議な色をしています。東と西が交わる場所だからでしょうか。

その日も、佐世保の「日本中国美術骨董品アジアアート長崎」に、何か特別なものが舞い込む予感がしていました。

ドアが開き、年配の紳士が入ってこられました。手にはずっしりとした木箱。

「これ、どうしたらいいものかと…」

木箱を開けると、そこには北村西望作の「彫刻達磨大師」が。達磨大師の目は、まるで私たちを見つめているようでした。

「北村西望といえば…」

言葉が出かけたとき、紳士が静かに話し始めました。

「私の父が、当時、食べるのもやっとの時代に、なぜこんなものを…と思っていました」

紳士の目が、遠くを見つめます。

「でも父は言ったんです。『美しいものを見ることで、人は強くなれる』って」

その言葉に、ハッとしました。美術品や骨董品は、単なる贅沢品ではない。人々の心を支える、大切な存在なのかもしれません。

「お父様の言葉、とても素敵ですね」

つい、本音が漏れました。

紳士は少し照れたように笑いながら、「ただ、家族には『ただの古い置物』としか見えないようで…」と続けました。

「そうですね…ちょっとお話しても良いですか?」

気がつけば、北村西望と長崎の関係、戦後の美術界の動向、そして「美しいものを見る」ことの意味について、熱く語り合っていました。

紳士は帰り際、「今日は来て良かった。父の気持ち、少し分かった気がします」とおっしゃいました。

それから1ヶ月後。

紳士が再び来店されました。今度は、若い方々と一緒です。

「孫たちです。この像のこと、みんなで話し合いました」

孫の一人が、おずおずと話し始めます。

「最初は『なんでこんな古いもの』って思ったんです。でも、おじいちゃんの話を聞いて…」

もう一人が続けます。「戦後の話とか、美術の話とか、初めて聞きました。すごく貴重な時間でした」

紳士の目が、少し潤んでいるように見えました。

「家族で話し合った結果、この像の物語を次の世代に繋げてほしいと思いました。ここなら、きっと大切にしてくれると」

そう言って、紳士は北村西望の「彫刻達磨大師」を私たちに託してくださいました。

美術品や骨董品は、単なる「モノ」ではありません。そこには、時代の空気や、家族の歴史が詰まっています。その「物語」を理解し、次の世代につなぐこと。それが、私たちの本当の仕事なのです。

この北村西望の作品も、新たな旅立ちです。いつか、誰かの心に響く日が来ることを願いながら、大切に保管させていただきます。

長崎には、まだまだ知られざる「物語」があふれています。西洋と東洋が交わるこの地で、人々は何を見て、何を感じてきたのか。

例えば、出島。ここで交易された美術品の中には、今でも世界中の美術館で大切にされているものがあります。

原爆資料館には、被爆した仏像が。破壊の中にあっても、美は生き続けるのです。

五島列島の教会群。信仰と芸術が融合した美しさに、誰もが息を呑みます。

こういった場所を巡ると、美術品や骨董品の持つ力を、改めて感じずにはいられません。

もし、皆さんのお家にも「よく分からないけど、なんとなく気になる」というものがあれば、ぜひ一度相談してみてください。その「モノ」が語る物語を、一緒に聞いてみませんか?きっと、驚くような発見があるはずです。

そして、その物語を次の世代に伝えていく。それが、私たちの喜びであり、使命なのです。

…さて、今日はどんな「物語」と出会えるかな?そんなワクワクを胸に、今日も店先に立ちます。長崎の空の下で、あなたとの出会いを待っています。

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