蓮葉沢蟹蛙象嵌鉄瓶
【福岡県久留米市買取】
時を刻む美 – 今回は蓮葉沢蟹蛙象嵌鉄瓶との出会いをお話しさせていただきます。
皆様、こんにちは。福岡市中央区大宮に本店を構える「日本中国美術骨董品アジアアート」の専門スタッフ、坂本と申します。本日は、当店が最近取り扱わせていただいた特別な作品、「蓮葉沢蟹蛙象嵌鉄瓶」についてお話しさせていただきます。この作品との出会いは、私たちにとって貴重な学びの機会となりました。
「はい!アジアアートでございます」
買取品の整理がつかない荷物でごった返す店内、一本の電話が鳴りました。
「もしもし、日本中国美術骨董品アジアアートさんでしょうか。実は、古い鉄瓶を持っているのですが…」
電話の主は、久留米市にお住まいのご依頼者様。その声には、少し迷いが感じられました。
「はい、ぜひ拝見させていただきたいです。お伺いしてもよろしいでしょうか?」
私の返答に、ご依頼者様は「ええ、お願いします」と応じてくださいました。
驚きの御対面
数日後、ご依頼者様とのお約束の日時に茶道具に詳しいスタッフとお宅を訪問しました。玄関先でご依頼者様が出迎えてくださり、応接間へと案内されました。
テーブルの上に置かれた鉄瓶を見た瞬間、私たちは息を呑みました。
「これは…蓮葉沢蟹蛙象嵌鉄瓶(ハスハ・サワガニ・カエル・ゾウガン・テツビン)ですね」
ご依頼者様は少し驚いた様子でした。
「え?そんな立派な名前がついているんですか?」
弊社スタッフ…
「いえ、いつもの癖で見たままに適当に命名してみました!」
鉄瓶の魅力
早速、鉄瓶を拝見させていただきました。黒光りする鉄の表面に、繊細な象嵌で蓮の葉や沢蟹、蛙が表現されています。その技巧の見事さに、思わず見入ってしまいました。
「この鉄瓶、どのようにして手に入れられたのですか?」
私の質問に、ご依頼者様は少し懐かしそうに答えてくださいました。
「実は、これは県外にある実家から持ってきたものなんです。祖父の代から大切にされていたようですが、ここ数十年は使われることもなく…」
時代を超えて受け継がれてきた美の結晶。その歴史の重みに、私たちは身が引き締まる思いでした。
専門家の目
帰社後、さらに詳細な調査を行いました。鋳造技法、象嵌の特徴、そして時代考証…。あらゆる角度から検証を重ねた結果、この蓮葉沢蟹蛙象嵌鉄瓶の価値が明らかになりました。
- 製作年代:江戸時代後期(19世紀前半)
- 産地:南部鉄器の特徴が見られる
- 特徴:蓮、沢蟹、蛙の象嵌が見事で、当時の最高峰の技術を示している
- 保存状態:長年使用されていないため、状態は非常に良好
買取の決断
調査結果をもとに、ご依頼者様と慎重に協議を重ねました。
「祖父の形見でもあるこの鉄瓶。でも、このまま使わずにいるのはもったいない気がして…」
ご依頼者様の言葉に、私たちは深く共感しました。美術品は、適切に保管され、その価値が理解される環境に置かれてこそ、真の輝きを放つものです。
慎重な検討の末、ご依頼者様は当店での買取を決断されました。
思わぬハプニング
買取の手続きを進める中、思わぬハプニングが起こりました。買取伝票の記入や古物台帳の説明に気を取られ、なんと買取代金のお支払いを失念してしまったのです。
「あの、代金は…」
ご依頼者様の控えめな一言で、私たちは大慌て。即座に謝罪し、お支払いさせていただきました。
この出来事は、私たちに大切な教訓を残しました。どんなに素晴らしい作品との出会いに心を奪われても、基本を忘れてはいけない。お客様への敬意と感謝の気持ちを、常に忘れずにいることの大切さを、身をもって学んだのです。
おわりに
美術品や骨董品には、それぞれに物語があります。時代を超え、人々の想いを乗せて旅をする、そんな特別な品々との出会いを、私たちは心待ちにしています。
この蓮葉沢蟹蛙象嵌鉄瓶との出会いは、私たち「日本中国美術骨董品アジアアート」にとって、かけがえのない経験となりました。作品の魅力に心を奪われつつも、お客様への誠実な対応を心がけること。その大切さを、改めて胸に刻みました。
あなたのお家に眠る逸品、その価値を一緒に見出してみませんか? 「日本中国美術骨董品アジアアート」は、あなたとの素敵な出会いを、いつでもお待ちしております。専門知識と誠実な対応で、大切な品々の新たな旅立ちをサポートいたします。