十四代柿右衛門作濁手花瓶

十四代酒井田柿右衛門作濁手花瓶

【福岡県福岡市中央区買取】

福岡の秋を彩る名品との出会い – 十四代柿右衛門作 濁手花瓶

福岡県福岡市中央区、西鉄薬院駅近くのお客様宅へ出張買取に伺った秋の午後のこと。空気が澄んで、どこからともなく甘い香りが漂う季節でした。私たち「日本中国美術骨董品アジアアート」のスタッフは、この日も丁寧な査定を心がけていました。

お客様は長年、美術品や骨董品のコレクターとして知られる方で、特に有田焼の名工、酒井田柿右衛門の作品に造詣が深い方でした。今回、ご家族の事情で大切にされてきたコレクションの一部を手放すことになり、当店にご相談いただいたのです。

玄関に足を踏み入れると、まず目に飛び込んできたのが、上品な白磁の地に繊細な色絵が施された花瓶でした。一目で十四代酒井田柿右衛門の作品だとわかります。共箱もきちんと揃っており、保存状態は申し分ありません。

「これは十四代柿右衛門作の濁手花瓶ですね。芙蓉文が見事です」と声をかけると、お客様の目が輝きました。

「よくぞ芙蓉だとわかりましたね。山つつじに似ていますが、花弁の中心に雄しべのような柱があるのが芙蓉の特徴です。山つつじは花弁のみですから」

お客様との会話が弾みます。柿右衛門様式の特徴である余白を生かした構図、濁手(にごして)と呼ばれる乳白色の地に、青や赤、黄、緑などの色彩が見事に調和しています。この技法は、17世紀後半に初代柿右衛門が確立し、以来、代々受け継がれてきた伝統です。

十四代酒井田柿右衛門(1934-2013)は、2001年に人間国宝に認定された陶芸家です。伝統を守りつつも、現代的な感覚を取り入れた作風で知られ、その作品は国内外で高い評価を受けています。特に、濁手の技法を駆使した作品は、柿右衛門窯の真骨頂と言えるでしょう。

お客様は続けて、「あなたの店は中国美術が専門なんでしょう。桂花(ケイカ)は何かわかりますか?」と尋ねてこられました。

「桂花陳酒というお酒にありますね。中国原産の花ではないでしょうか」と答えると、「さっきから匂わない?」とお客様は窓の外を見るようにおっしゃいました。

福岡市中央区は、歴史的に中国や朝鮮半島との交流が盛んだった場所。その影響は植物にも及んでいます。窓の外に目をやると、小さなオレンジ色の花をびっしりとつけたキンモクセイの木が見えました。秋の訪れを告げる甘い香りの正体が判明したのです。

キンモクセイは、中国原産の植物で、日本には古くから渡来したとされています。その香りは「桂花」と呼ばれ、中国では古くから珍重されてきました。福岡の街角でキンモクセイの香りに出会うたび、私たちは遠い異国との文化的つながりを感じずにはいられません。

このように、美術品や骨董品の買取は、単なる物の売買ではありません。その作品に込められた歴史や文化、そして持ち主の思い出までもが、私たちに語りかけてくるのです。

十四代柿右衛門の濁手花瓶は、まさにそんな「物語」を持つ逸品でした。芙蓉の花が描かれたこの花瓶は、有田焼の伝統と革新が見事に融合した作品です。色絵の鮮やかさ、白磁の質感、そして全体のバランスが絶妙で、見る者を魅了してやみません。

福岡県は、古くから陶磁器の産地として知られています。有田焼の隣県として、その影響を受けつつも独自の発展を遂げた上野焼や高取焼なども有名です。上野焼は1620年代に朝鮮半島から渡来した陶工によって始められました。高取焼も同じく、朝鮮陶工の流れをくむ焼き物で、独特の風合いが特徴です。

そんな陶芸の豊かな土地柄で大切に保管されてきたこの柿右衛門の花瓶は、まさに美の結晶と言えるでしょう。福岡の地で育まれた美意識と、有田の伝統技術が見事に調和した作品なのです。

当店「日本中国美術骨董品アジアアート」では、このような貴重な美術品や骨董品の買取を専門に行っています。特に中国美術品や日本の陶磁器、掛軸、絵画などの買取に力を入れています。今回のような出張買取はもちろん、店頭での査定も承っております。

お客様との丁寧なやり取りの末、この十四代柿右衛門作濁手花瓶は、170,000円での買取となりました。これは決して安い金額ではありませんが、作品の価値を考えれば妥当な金額だと考えています。

柿右衛門窯の作品は、その希少性と芸術性から、国内外のコレクターに高く評価されています。特に、人間国宝である十四代の作品は、現代の名工による逸品として、将来的にさらなる価値の上昇が期待できます。

美術品や骨董品の価値は、時代と共に変化します。しかし、本当に価値ある作品は、時を経ても輝き続けるものです。この柿右衛門の花瓶も、きっと次の持ち主のもとで新たな物語を紡いでいくことでしょう。

福岡市中央区を中心に、福岡県全域で出張買取を行っている当店では、このような素晴らしい作品との出会いを日々楽しみにしています。福岡は、その地理的位置から、古くから大陸との交流の窓口として栄えてきました。そのため、中国や朝鮮半島の美術品が多く流入し、地元の文化と融合してきた歴史があります。

このような豊かな文化的背景を持つ福岡で、美術品や骨董品の買取を行うことは、私たちにとって大きな喜びであり、同時に重大な責任でもあります。一つ一つの作品に込められた歴史と文化を理解し、適切に評価することが、私たちの使命だと考えています。

当店では、お客様の大切な品々を丁寧に査定し、適正な価格で買取を行っています。美術品や骨董品は、適切に手入れをすることで、長くその美しさを保つことができます。このような保存・管理の知識も、長年の経験を通じて蓄積してきました。

あなたのお手元に眠る美術品や骨董品、中でも陶磁器や掛軸、絵画などがございましたら、ぜひ一度当店にご相談ください。きっと、あなたの大切にされてきた品々に新たな価値を見出し、次の世代へと橋渡しをする手助けができると信じています。

私たちは、福岡の地で育まれた美と文化を大切に守り、次の世代に引き継いでいく。そんな使命感を持って、日々の業務に励んでいます。あなたの大切な品々との出会いを、心よりお待ちしております。

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