鐔 肥前長崎若芝丸形両櫃鉄磨地耳金布



肥前長崎若芝(じゃくし)の在銘、鑑定書付、の鐔をお買取しました。



江戸時代末期に肥前長崎で造られた、丸形両櫃、鉄磨地、耳金布目象嵌、幽谷仙人図薄肉彫色絵象嵌、の実に繊細で緻密な保存状態の大変良い鐔となっています。

若芝とは、河村氏という武士の家系で龍造寺家に仕え、長崎にある祟福寺にて中国僧の 逸然に絵を学び、北宋風の仏画や花鳥山水図を得意とした画家、工芸家です。この図法を利用した鐔工法技術を開発した鐔工を初代若芝とし、その後数代続きます。代表的な作風には、鉄地丸形に風竹、山水図、雲竜図などを彫り、腐食させた布目象嵌の工法を得意としました。銘は「若芝」と二字に切ることが多く、本作の薄肉彫色絵象嵌幽谷仙人図のその柔らかなモチーフにも粋な正真草書銘がバチッと刻まれています。

若芝が活躍した時代の肥前国は鍋島家により統治されていました。この鍋島家は始祖を鍋島経房とし、肥前の小大名であった少弐政資の子だったとされています。鍋島氏は龍造寺氏の重臣で鍋島経房の曾孫である鍋島直茂から歴史の表舞台に出てきます。直茂は義兄弟である龍造寺隆信に仕え北部九州で活躍していきます。そしてその活躍は頂点を極めます。1584年沖田畷の戦いで龍造寺隆信が討たれたことにより、鍋島直茂が豊臣秀吉の後押しを得て肥前国の国主となります。いわゆる一種の下剋上ですね。

鍋島家統治の肥前国では「忠吉」を中心とする肥前刀や、伊万里、有田等の焼き物があまりにも有名ですが、その影に隠れるように、刀装具の世界では、若芝のような上質刀装金具も有ります。私的にはもっと脚光を浴びても良い刀装金工ではないかと思います。

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