刀 初代長州住玉井刑部左衛門二王方清
初代長州住玉井刑部左衛門二王方清 寛文二十年八月裏年期入りの刀をお買取しました。方清(まさきよ)の活躍は、長州(山口県)を代表する二王派の最盛期となる江戸初期寛文の頃になります。本刀は75センチメートル超で重ね厚く反りの少ないまさに豪刀です。また身幅広く、乱れ刃に互の目まじりのいかにも方清という御刀です。
鎌倉時代に火災に見舞われた仁王門で、仁王が鎖に縛られ逃げられない状況になったおり、二王派の祖と伝わる清綱の名刀で鎖を断ち切り仁王を助け出したという古事があります。以後、「二王清綱」と名乗ったことがこの二王派の銘の始まりと伝わります。一門の多くが「清」を字冠することで知られ、鎌倉時代から江戸時代まで長きにわたり活躍した歴史ある大和伝の刀工です。
本刀は「長州住玉井刑部左衛門二王方清」と長銘で年期も入り、刀身の出来栄えも申し分ない方清渾身の作と思われます。明治維新を成し遂げ新しい時代の石杖を築いた長州藩の志士の愛刀だったのでは、と連想させられる感慨深いお品です。