世界に類を見ない日本の刀剣

今日では日本の刀剣は芸術品として、海外からの評判も高く、広く知られています。
日本の刀剣は、折れず、しなやかで、曲がらず、よく切れるという相反するものを兼ね備え、さらにその姿・形は美しいと称されています。

片刃のものを「刀」といい、両刃のものを「剣」といいます。
刀と剣の違い

日本神話に登場する最初の刀剣

日本神話には「天叢雲剣(あまのむらぐものつるぎ)」と呼ばれる剣が登場します。この剣はスサノオが倒したヤマタノオロチの尾から出てきました。
簡単に日本神話を振り返ってみましょう。

ヤマタノオロチとスサノオ

アマテラスの弟であるスサノヲは出雲の国へと降りていきました。老夫婦が若い娘のクシナダヒメを前に泣いていました。理由をたずねてみると、ヤマタノオロチという大河のように巨大で、八つの頭を持つ恐ろしい怪物が、毎年娘を食べに来るらしいのです。そして今年がこのクシナダヒメを差し出す年なのだということでした。

スサノヲはクシナダヒメを櫛(くし)に変身させて、自分の髪に刺したのです。そして老夫婦にアルコールの強い酒を造らせました。
ヤマタノオロチがやって来ると、この酒をしこたま飲み、酔って寝てしまいました。その隙にスサノヲは剣を抜いて、大蛇を切り刻んで倒したのです。すると、ヤマタノオロチの尾には素晴らしい剣が隠されていました。スサノヲはこの剣(「天叢雲剣(あまのむらぐものつるぎ)」)を取り出してアマテラスに献上しました。これが後にいう三種の神器の一つ「草薙の剣」なのです。

天孫降臨・三種の神器

天界の高天原を治めていたアマテラスは、孫の二ニギを送り出しました。二ニギは幾重にもたなびく天の雲を押し分けて、筑紫の日向の高千穂に降りてきました。「天照大御神」の孫が降臨したので、これを略して「天孫降臨」といわれています。降臨した二ニギはまだ幼子だったといいます。二ニギを送り出す際、アマテラスが天石屋戸に引き籠ってしまった時に、自分のために作ってくれた勾玉と鏡を持たせました。それとスサノヲが献上してきた剣も持たせました。
「八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)」、「八咫鏡(やたのかがみ)」、「草薙の剣(くさなぎのけん)」が三種の神器といわれています。

草薙剣(くさなぎのけん) 天叢雲剣 八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま 八咫鏡(やたのかがみ)

三種の神器・神器としての刀剣

三種の神器はアマテラスが天孫降臨の際に、孫の二ニギに神の代わりとして授けたのが始まりです。 「天叢雲剣(あまのむらぐものつるぎ)」は「草薙剣(くさなぎのけん)」と名を変え、今日では天皇が代々継承する三種の神器の一つとなっています。このように三種の神器において刀剣はご神体という意味合いを持ち合わせています。現在、熱田神社のご神体として祭られています。 神社に奉納される刀剣はその時点で、武器ではなく神器となります。 神仏の前では刀剣は単なる道具ではなく、刀剣に神の霊が宿っていると考えられてきました。

刀剣の歴史

日本において刀剣はどのように進化してきたのでしょうか?
弥生(やよい)時代、北九州地方を中心に鋳造銅剣が多く分布していました。そこへ朝鮮半島製の短剣が入り、これは「武器」として使用されていました。しかし、日本独自の発展をみせ、武器としてではなく、おもに神器として用いられるようになります。

弥生時代の剣

古墳時代 鉄刀

古墳時代以後は鉄剣は儀式用の宝器となり、鉄刀が実用刀となっていきます。


平安時代に入るころからは、反りのある刀に移り、技術的にも日本刀の原型ができあがってゆきます。

平安時代 刀

平安時代から鎌倉時代初期にかけて、日本刀は黄金時代を迎えることになります。


村正 真田幸村

戦乱の時代には所有者が信じる神仏の名や、真言(お経のようなもの)が彫り付けてある刀が数多く存在しています。 合戦の時、人間同士の生命を賭した戦いという極的状況において、相応の覚悟が必要となります。その際、人々は神器としての日本刀を、神の代わりとしてすがる思いで肌身外さず身につけていました。魂のよりどころとしていたのでしょう。弓・槍・鉄砲といった武器とは違い、神仏への思いも重なって、刀剣は単なる武器ではない存在だったのです。

日本刀はなぜ美しいのか

古来より人は神仏と対話して過ごして生きていました。今の世より神仏は人々にとってより身近な存在でした。人は神仏の御前に奉納する刀剣を通じて、神仏を感じていました。刀剣に神仏のご加護が宿ることを信じていたのです。神に対する畏敬の念で日本刀へ美をも追求していくことに余念がありませんでした。

だからこそ、今日においても武器のなかで日本刀ほど洗練されたものはなく、他に類を見ないものとなっているのです。

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