草間彌生

草間彌生は、昭和4年(1929年)長野県松本市で種苗業を経営する裕福な家に四人きょうだいの末っ子として生まれます。水玉模様や網目模様が覆い尽くすような作品で世界規模で有名な日本の芸術家です。幼少の頃から悩まされた統合失調症からくる幻覚、幻聴から逃れるために、その幻覚、幻聴を絵に描きとめるようになったといわれ、「絵を描くことは切羽詰まった自らの熱気のようなもので、およそ芸術からほど遠いところから、原始的、本能的にはじまってしまっていた」また「死に物狂いで闘ってきた」と本人談があり、これが世界を魅了し続けている前衛芸術家、「草間彌生」の原点となっています。
10歳の頃にはすでに水玉模様と網目模様をモチーフに、水彩、パステル、油彩などを駆使して幻想的な絵画を制作しています。以後、京都市立美術工芸学校で日本画を学び、1957年に渡米すると、絵画、立体作品に止まらず、「ハプニング」といわれる過激なパフォーマンスを実行し「ネット・ペインティング」のシリーズを発表します。この頃にはすでに「前衛の女王」の異名を得ます。1973年に親友の死や体調を崩した事から、ニューヨークから東京へ活動拠点を移しますが、これ以降も水玉模様、網目模様、の同一のモチーフを反復し、一面を覆い尽くす特徴を持つ作品や、合わせ鏡を用いた光のオブジェが無限の広がりを持つように見える「インスタレーション」、「カボチャ」をモチーフにした作品などを発表し、その傍らで、ファッションデザインや小説執筆などを続け、1993年にヴェネツィア・ビエンナーレに日本代表として参加した事をきっかけに草間彌生の活動が再び活発になり、世界規模で再評価熱が高まります。
2000年 芸術推奨文部大臣賞
外務大臣表彰
2001年 朝日賞 受賞
2002年 紺綬褒章 受章
2006年 旭日小綬章 受章
2016年 文化勲章 受章
2017年 名誉都民 顕彰
以上、一部抜粋。
と輝かしい功績を残しながらルイ・ヴィトンをはじめ数多くの世界ブランドや企業とコラボレーションしたアート作品を発表します。2013年の「24時間テレビ」では、チャリティーTシャツのデザインを担当するなど話題をよびました。
この頃から作品の評価はいっきに高まり、富士山、網、花、帽子、などをモチーフにした作品を中心に、台湾、香港など中華圏では「かぼちゃ」という作品の人気が爆発的に高まっています。
最近では現代アートで「何か日本人作家の作品を一枚」といわれれば、草間彌生と言われることが多いようです。
2016年には米誌「タイム」が発表した「世界で最も影響力のある100人」に日本人として唯一名を連ねた事も記憶に新しいところとなっています。