ミャンマーからやってきたアジアのカラーストーン翡翠

翡翠の歴史では日本が最も古く、縄文時代から勾玉として使用されてきました。ミャンマー、ロシア、アメリカ、日本の限られた産地でしかとれません。最も産出量が多いのはミャンマーです。

翡翠の取引ルート

翡翠の取引ルート
非常に高価で貴重な翡翠ですが、かつてバイヤーであった方が聞いた話では、ミャンマーの取引ルートはがっちりと抑えられているそうです。

第一のルートはタイのバンコクのカラーストーンのディーラーが大きな力を持っていて、彼らは台湾や香港のディーラーともつながっており、もしその目を盗んで取引をすれば100%摘発されます。

第二のルートはミャンマーから中国の雲南省に輸出されます。中国全土に運ばれて加工され、アクセサリーや安物の工芸品として売られます。土産物店などでくずの翡翠を染めたものを天然翡翠として売っていることもあるそうなので注意が必要です。染めていると指摘しても強引な中国商人は認めないそうです。

第三のルートは、ミャンマー北部からタイに翡翠原石が運ばれる一本の細い道があります。このルートはミャンマー政府の力が完全に及ばないボスによって維持されています。彼は強力な私兵団を持ち、麻薬を生産し、一部の地域においては税金さえ徴収しているそうです。この裏ルートを通ってタイ国境の町に入ってくるそうです。ここでは通行税を払わなければ銃撃されて殺されるか、またミャンマー政府に見つかって銃撃されるといった可能性もあり、命がけで運んでくるそうです。

ミャンマーの翡翠市場

翡翠市場
ミャンマーの翡翠市場では、「携帯用の翡翠専用ライト」を片手に品定めを行います。彫ったばかりの原石をもってきた夫婦、途中まで彫刻を施した未完成品を持ってきた彫刻師、自分の技術を見せて雇ってもらおうとしている職人、掘り出し物を探そうとしている業者、ここぞとばかりにお弁当やお菓子を売り歩くおばちゃん、ここには素人は一人もいません。よそ者は警戒されます。

玉石混交の翡翠

玉石混交
道端で原石を販売しています。翡翠は「買えない宝石」と言われます。高いものは買えない、安いものは信じられない。中間の物は文字通り「玉石混交」。翡翠は玉とも呼ばれますので、「玉石混交」という言葉はここからきています。それぞれ本物を見る目を養わなければ痛い目にあいます。

翡翠原石をスライス

翡翠のカット
翡翠はよく似た石がたくさんあるので、一見して見分けるのは困難です。翡翠の原石は割ってみて初めて中身がどのくらい翡翠の宝石になりえるのかがわかります。原石をカットして、その中に翡翠の層があるかどうか見定めます。

翡翠と呼ばれる石は2つある

翡翠と呼ばれる石には、ジェダイトとネフライトという2種類があります。18世紀にミャンマーでジェダイトが発見されるまで、翡翠という言葉はジェダイトとネフライトの双方を指して使っていました。両者は鉱物的にも全く異なった石です。宝石の価格として高いのはジェダイトの方です。ジェダイトがもたらされると、西太后を筆頭とする皇族たちがこぞって愛好したため、ジェダイトが玉器の中心素材となり、翡翠彫刻の名品が生まれました。今では翡翠と言えばジェダイトを指すという認識になっています。

霊力をもつカラーストーンとしての翡翠

翡翠の勾玉
翡翠は古来より霊力を持つ力として知られ、お守りとして用いられてきました。「魂や細胞を活性化させる石」として、護符や魔除けなどに使われています。古代ギリシャでは目に効くとして、翡翠の溶液で洗顔し、粉末にしたものは解毒剤に使い、中南米のインディオ達も腎臓病の治療に使ったと言われています。中国では五徳(仁・義・礼・智・信)を高めるとされました。子供が誕生すると、必ず翡翠のお守りを買い与えます。身に着けていると健康状態に反応して、ある時は曇ったり、またある時は輝きを失ったりしながら、健康と運気のバランスをとるそうです。「交通事故に遭って怪我ひとつなかったが、身に着けていた翡翠だけが割れていた」という話もあります。

健康長寿に役立つ翡翠

天然石の翡翠は人体に必要な鉱物質であるカルシウム、マグネシウムを含んでおり、東洋では昔から医療用として使用されてきた天然石の一つです。天然の翡翠を加温することで遠赤外線を発し、リラクゼーション効果をもたらす機能が、健康器具などにも活用されています。これまで言い伝えとして伝えられてきた効果が、実際に科学的にも解明されようとしています。今後翡翠のようなカラーストーンがこれまで以上にその価値が評価され、重宝される時がこようとしています。

参考文献:だれも書かなかった!ヒスイの秘密 塚田眞弘 コスモトゥーワン
骨董ハンター南方見聞録 島津法樹 講談社
2018-08-26T18:16:23+09:00カラーストーン|