中国清時代影絵人形

【福岡県福岡市博多区買取】

埃と記憶の倉庫 – 福岡市博多区で見つけた日中文化交流の証

夕暮れ時の喧騒が博多の街を包み始める頃、私たち「日本中国美術骨董品アジアアート」のスタッフは、福岡市博多区にある物流倉庫に到着しました。3代にわたって中国ビジネスを展開されている会社の倉庫整理が行われているというご連絡を受けてのことでした。

倉庫に足を踏み入れると、作業が進んでいる最中で建物内は雑然としていました。段ボール箱や木箱が積み上げられ、保管物や作業機械から出る空気感が漂っています。作業をされている方が数名、黙々と荷物を仕分けする中、私たちは依頼主の方に案内されて奥へと進みました。

「すみません、こんな状態で」と依頼主の方が苦笑いを浮かべながら言います。「祖父の代から集めてきた物なんですが、もう手放す時期かなと思いまして」

そう言いながら、依頼主の方が指し示したのは、倉庫隅に集められたダンボール箱の一山でした。

その一つに手を置き「これが皮影戯(ピーインシー)の人形なんです。祖父が中国で仕事をしていた頃に手に入れたものです」

私たちは慎重に箱を開けました。そこには20体ほどの人物、馬、虎など動物の繊細な影絵人形が、少し埃をかぶった感じで重なるように横たわっていました。時代の傷みを感じさせますが、精巧な作りに、他にも色々と期待できそうなものがありそうな気がしてきます。

「実は、これらの人形のことはすっかり忘れていたんです」と依頼主の方が続けます。「倉庫の整理を始めて、偶然見つかったんですよ」

皮影戯は中国の伝統的な影絵芝居で、特に清代に隆盛を極めました。透かし彫りを施した皮革で作られた人形を、白い幕の後ろから灯りに照らして操り、物語を演じる芸能です。その歴史は2000年以上前にまで遡るといわれています。

人形たちを一つずつ取り出すと、年月の経過を感じさせる劣化はあるものの、和物には無い大陸的な芸術性に惹かれます。商売になるとかならないということではなく、時間をかけてじっくり見てみたいという気持ちです。中国作品的なシュッとした彫刻が施された顔、色あせてはいるものの華やかな衣装の痕跡、繊細と大味が混在する手先足先の造形。中には手や足が外れているものもありましたが、部品のほとんどが残っており、修復の可能性を感じさせるものでした。

「祖父は昭和初期に中国で貿易業を始めたんです」と、依頼主の方が話し始めました。「当時は日中関係が緊張していた時期でしたが、祖父は文化交流の重要性を大事にしていました。この皮影戯の人形たちも、そんな祖父の思いが込められていると思いますよ」

その言葉を聞きながら、私たちは改めてこれらの人形の持つ意味の重さを実感しました。これらは単なる古い人形ではありません。日中両国の複雑な関係の中で、文化の架け橋となることを願った一人の日本人ビジネスマンの思いが、確かにそこに息づいています。

倉庫内を見回すと、他にも数々の中国関連の品々が目に入ります。埃をかぶった景徳鎮の陶磁器、いくつかの巻かれた掛軸、文化大革命期のポスターの束。どれも長年放置されていたような様子でしたが、その一つ一つに歴史が刻まれていることは明らかでした。

「父の代になると、文化大革命の時代でした」と、依頼主の方は続けます。「中国との取引は難しくなりましたが、それでも文化交流は絶やさなかったんです。このポスター類も、その頃のものです」

文化大革命期の大型ポスターの束を手に取ると、その重みを感じました。鮮やかな色彩と大胆な構図で描かれた工農兵の姿は、当時の中国社会の熱気を今に伝えています。これらのポスターは、芸術性と同時に、歴史的・社会学的な価値も高いものといえます。

「そして私の代になって、日中国交正常化を迎えました」と、依頼主の方は記憶をたどるように語ります。「ビジネスの幅も広がり、中国各地を訪れる機会も増えました。でも、最近は事業の方向性も変わってきて…ちょっと整理しておかないと」

その言葉に、時代の流れと共に変化する企業の姿を感じました。しかし、そうした中で大切に保管されてきたこれらの品々には、3代にわたる日中文化交流の歴史が確かに刻まれています。

私たちは、依頼主の方の許可を得て、倉庫内の品々を丁寧に査定していきました。埃をかぶった景徳鎮の陶磁器の中には、清朝康熙年製の粉彩鉢などもありました。

「実は、祖父や父がこれらの品々をどのように入手したのか、詳しいことは分からないんです」と依頼主の方が打ち明けます。「ただ、中国の方々との交流の中で、少しずつ集めていったようです」

その言葉に、私たちは改めて美術品や骨董品が持つ意味を考えさせられました。これらの品々は、それぞれが日中両国の人々の交流の証であり、文化の架け橋です。

特に印象的だったのは、一隅に置かれていた砡(ぎょく)と呼ばれる奇石の置物でした。砡とは、自然石や化石を加工して作られる中国の伝統的な鑑賞石のことです。今回見つかった砡は、まるで水墨画のような風景が石の中に広がる見事な作品でした。

「これは父が蘇州で見つけたものだと聞いています」と依頼主の方が語ります。「父はよく、この石を見ながら『石の中に宇宙がある』と言っていました」

砡を手に取ると、確かにその言葉の意味が理解できるような気がしました。石の表面に刻まれた自然の造形は、まるで壮大な山水画のようです。そこには、人間の手では到底及ばない自然の技が凝縮されています。

これらの品々を一つ一つ拝見しながら、私たちはこの倉庫に眠る文化財の重要性を改めて認識しました。特に皮影戯の人形たちには、文化財としての価値と、修復の可能性も含めて55,000円という買取価格を提示させていただきました。

「弊社でこれらの品々を次の世代に伝えていく役目を担えて本当によかったです」と、私たちは依頼主の方にお伝えしました。

依頼主の方は、少し安堵したような表情を浮かべました。「正直、これらの品をどうしようかと悩んでいたんです。でも、こうして価値を認めていただけて、本当に良かった」

私たちは、これらの品々が単なる骨董品ではなく、日中文化交流の貴重な証であることを改めてご説明しました。そして、可能な限り大切に持ってもらえる方に繋いでいくことをお伝えしました。

「そうしていただけると、祖父も父も喜ぶと思います」と依頼主の方は微笑みました。

倉庫を後にしながら、私たちは改めて自分たちの仕事の意義を実感しました。美術品・骨董品の買取りを通じて、忘れられかけていた文化の橋を再び架ける。それが「日本中国美術骨董品アジアアート」の役割だと思います。

ここで、皆様に一言お伝えしたいことがあります。皆様のお手元や、ご実家の蔵、そして今回のような古い倉庫の中にも、貴重な美術品が眠っているかもしれません。特に、戦前から戦後にかけて中国や東南アジアとの関わりがあったご家庭や企業では、思いがけない逸品が保管されている可能性が高いです。

しかし、近年の傾向として、こうした品々が知らずに処分されてしまうケースが増えています。特に、ご両親やご祖父母の代に集められた品々は、その価値が分からずに片付けられてしまうことが少なくありません。整理や片付けの際に、価値あるものを誤って処分してしまう前に、ぜひ私たち専門家にご相談ください。

「日本中国美術骨董品アジアアート」では、出張費や査定料は一切無料で承っております。福岡県全域はもちろん、九州一円へも喜んでお伺いいたします。たとえ、お客様のお持ちの品が買取対象とならなかった場合でも、料金は一切発生いたしません。ですので、どうぞ安心してお問い合わせください。

また、買取だけでなく、お持ちの品の由来や価値についてのご相談も承っております。例えば、「祖父が中国から持ち帰ったものだが、どんな意味があるのかわからない」「この掛け軸は価値があるのだろうか」といったご質問にも、丁寧にお答えいたします。

中国美術品は、その長い歴史と豊かな文化を背景に、実に多様です。青銅器、陶磁器、書画、玉器、漆器など、その種類は多岐にわたります。また、時代や産地によっても、その価値は大きく変わってきます。例えば、先ほどの景徳鎮の磁器も、明代のものか清代のものかで、その価値は大きく異なります。

さらに、近年では中国美術品の価値が国際的に再評価され、オークションなどでも高値で取引されるケースが増えています。特に、清朝期の美術品や、民国期の書画などは、国際市場でも高い評価を得ています。

しかし、その一方で贋作や複製品も少なくありません。真贋の見極めには、長年の経験と専門知識が必要です。「日本中国美術骨董品アジアアート」では、豊富な経験を持つ専門家が、一点一点丁寧に鑑定いたします。

私たちは、単に高価な品物を買い取るだけでなく、それぞれの品に込められた歴史や文化的な価値を大切にしています。今回の皮影戯の人形たちのように、一見しただけでは分からない価値を見出し、適切に評価することも、私たちの重要な役割だと考えています。

福岡は、古くから中国や朝鮮半島との交流の窓口として栄えてきた土地です。そのため、この地域には他の地域では見られないような貴重な東アジアの美術品が眠っている可能性が高いのです。私たち「日本中国美術骨董品アジアアート」は、そうした隠れた名品を発掘し、適切に評価し、次の世代に引き継いでいくことを業務としています。

当社への査定依頼や相談は、ウェブサイト(https://asiaartgallery.jp/)または、お電話(092-534-8188)で受け付けています。ご不明な点があれば、どんな些細なことでもお問い合わせください。

今回の倉庫での経験は、私たちに改めて仕事の意義を考えさせてくれました。古い箱の中から見つかった皮影戯の人形たち、埃をかぶった景徳鎮の陶磁器、巻かれたままの掛軸。これらは単なる古い品物ではなく、日中の人々の交流や文化の歴史を物語る証拠です。

皆様のご家庭や会社の倉庫に眠る古い品々の中にも、重要な歴史的・文化的価値を持つものがあるかもしれません。整理や処分を検討される際は、一度専門家の目を通すことをお勧めします。私たちがその判断のお手伝いをさせていただきます。

福岡から、そして九州から、日本と中国の文化をつなぐ。それが私たち「日本中国美術骨董品アジアアート」の役割です。皆様のお手元の品々に新たな価値を見出し、その歴史を未来へとつなげていく。そのお手伝いができることを、私たちは誇りに思っています。引き続きよろしくお願い申し上げます。

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